アンパンマン人形を修理した
電池で動くアンパンマンが壊れたので直せ、という指令があったので、修理しました。
やってきたアンパンマンは、足と腕が外れているという状態です。腕はともかく、足は後述するようにシャフト部分の樹脂が割れてしまっているので、修理は大変そう。
さらに動かなくなってもう何年もたっているという話でありまして、分解してみると案の定電池ボックスには白い粉を噴いたアルカリ電池がこびりついておりました。かわいそうな状態であります。
まずはともあれ、電池ボックスの電極をそれなりに掃除して電気系統が生きているかどうかチェックすると、なんと動くではないですか。このアンパンマン君は、外部の音を受けると、電子ICに録音されている音声をスピーカーで流しつつ、歩き回る、というよくあるパターンのもの。

となると、(1)足の部分もちゃんと機構的に動くようにする、(2)基板洗浄・半田クラック修復・リード線のとりかえ、この二つをやれば、元気に歩き回ってくれそうです。
(2)は単純作業ですけれど、(1)壊れた足が駆動するようにするのは結構厄介なのでこちらを先に作業します。うまくいかなかったら、電気動作はあきらめてもらってボルトで足固定するしかありません。
足は、モーター>歯車ー>クランクで駆動しますが、その足を支える樹脂製シャフトが折れています。ということは・・接着剤は期待できません。まあ、かりに接着できるものがあったとしても、加わる負荷から言って、接合部はすぐに割れること請け合いです。
多分POM樹脂だと思うので、タッピングビスがそれなりに利いてくれると読んで、アルミ板で割れた部分を接合することにしました。これがだめなら可哀相ですがボルト固定(以下略)。


2mmのタッピングビスを二個使い、L型に加工した1.5mmのアルミ板で渡しをつけます。


結果は一応OK。一応というのは、当分壊れなさそうという点では合格ですが、両足のシャフト角度が違っているためか、まっすぐではなく、少し曲がって歩くのです・・・・・。
腕のほうは外れただけなので、胴体にはめ込めばなんとかなります。
電動復活の目処がついたので、電池ボックスの清掃と基板掃除を開始。これが一番時間がかかりました。電極や半田ランドに付着した不純物を地味にピンセット・綿棒でこそげとり、無水エタノールやピカールで磨くだけの地味な仕事。



あとは腕、足、基板を胴体にとりつけます。背中からヒップのラインをみると、かなり鍛えた肉体であります。

服を着せて、作業終了。ここまでで、作業総時間は6時間越え。まあ一日仕事です。おもちゃ病院がボランティアベースでしか成立しないのがよくわかる経験でありました。楽しかったですけど。